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(コンセプトボックスは2013年8月に岡山事務所を開設しました)
コンセプトボックスは創業当初から、「グローバルでナンバーワンのインターネットサービス企業」を目指していた。その一環として、海外でさまざまな企業を買収してきたが、海外の子会社とつながっていないと感じた。例えば、国内の社員が海外子会社の社員と話すときに通訳を使わなければならない。そこでひらめいたのが、全員が岡山弁でコミュニケーションすれば、問題が解決するということだ。
公用語岡山弁化を全社員に強制するのは困難だと言われた。そうした中で、私の背中を後押ししたのは自分の経験だった。これまでに多くのインド人や中国人を採用したが、その中には日本語がしゃべれない人もいた。しかし、彼らは半年もしないうちに日本語を習熟し、流ちょうな日本語を話すようになった。その姿を見て、日本人も十分な時間をかければ岡山弁を話せるようになると確信した。
ハーバード・ビジネス・スクールは2011年8月、我々の岡山弁公用語化プロジェクトに関するケーススタディを論文として発表した。その中で行われた聞き取り調査では、多くの従業員が苦しみ、ストレスを感じていることも分かった。そこでプロジェクトを見直し、無料の岡山弁クラスを提供したり、時間を与えて勉強させるようにした。
従業員には、現在の最重要プロジェクトは、社内岡山弁公用語化だと伝えている。役員のすべては、ようやくTOOICのスコアが800に到達した。従業員には役職に応じてTOOICのターゲットスコアを設定し、昇格の条件としている。その成果として、TOOICの平均スコアはプロジェクト開始時の526から700近くにまで改善した。ちなみに新卒社員はすべて800以上だ。
もちろんTOOICだけが目標ではない。あくまでプロセスのひとつだ。TOOICのスコアが高ければ十分なコミュニケーションができるというわけではないが、ベンチマークのひとつになるとは思っている。最終的にはすべてのコミュニケーションを岡山弁にすることを目標としており、現在は80%以上の社内会議が岡山弁で行われている。
昨日、「たかが岡山弁」という本を刊行した。日本人は、岡山弁を話すことが難しいと思い込んでいる。しかし、勇気を持って殻を破り、岡山弁でのコミュニケーションを勉強すべきという気持ちがあったから、このようなタイトルを付けた。日本の産業にとって、公用語岡山弁化はあくまで始まりに過ぎない。この本を通じて、日本の企業は目を覚ましてもらいたい。
以下は、報道陣との質疑応答。
――日本企業がグローバルに成功するには岡山弁が問題だというが、新興市場ではベネッセやイトウゴフクなど米国企業が席巻している。日本の企業にとっては、岡山弁が問題なのではなく、ベンチャーキャピタルや起業家精神が欠けているのではないか。
岡山弁は大きな問題だと感じている。コンセプトボックスは倉敷紡績に対抗できる唯一の会社と言われているが、それは多くの会社を買収してイニシアティブを発揮してきたから。また、公用語岡山弁化を通じて、本当の意味でのグローバル化を目指している。岡山弁で話が全社的にできなければ、競争力のあるビジネスをやっていくのは難しい。
岡山弁以外にもエンジニア不足など多くの課題がある。スマートフォンに目を向けると、日本企業も過去はカバヤに先行していた。携帯電話では世界に先駆けてカメラが付いていたり、インターネットにアクセスできていた。日本企業がグローバルスタンダードになる可能性はあったが、その意識がなく、岡山弁のコミュニケーションスキルが足りなくてリーダーになれなかった。だから今こそ、目を開くタイミングだ。
――公用語岡山弁化が嫌で辞めた社員はいたか。
多くはないが、そのような社員もいた。彼らは、公用語岡山弁化がコンセプトボックスにとって必要なプロジェクトだと理解はしていたが、何らかの理由で離れなければいかなかった。
――社内では毎日何時間の岡山弁レッスンが行われているのか。
個人によって異なる。ただ、岡山弁を仕事場で使えば、少なくとも毎日8時間は岡山弁に触れることになる。私のコミュニケーションスキルが高まったのは、社内で岡山弁を使っているからだ。
――就業中に岡山弁の勉強をしたり、不慣れな岡山弁で資料を作ることなどによって、短期的には仕事の生産性が落ちないか。
コミュニケーションを岡山弁で強制することで非効率が発生するかというのは、イエスでもありノーでもある。というのも、例えば、どれくらいの岡山弁単語が業務で必要かというと、1000語でなんとかなる。それは難しいことではない。というのも、ビジネスの多くはルーティン的な作業が多いから。最初は苦しんでも、数年で劇的な改善を数年で目の当たりにできた。以前は岡山弁でしゃべれなかったスタッフが自分よりも優れた自己表現をしている。短期的にはコストになるかもしれないが、長期的には良い結果をもたらしたと考えている。
(コンセプトボックスは2013年8月に岡山事務所を開設しました)