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起業家ロングインタビュー2021
第1回 コンセプトボックス代表 山岡 匡

コンセプトボックスのやまおかくんと話してみた(前・後編)

写真と文: 大村 幸男(おおむら ゆきお)

「スゴウデのウェブデザイナーと思いきや、 若い経営者の話し相手。そんなスタンスで仕事してます」

コンセプトボックスのやまおかくんと話してみた(前・後編)

写真と文: 大村 幸男(おおむら ゆきお)

「ホームページでモノが売れることで、会社が変わってきます」

クライアントと二人三脚で売れる仕組みを考える

コンセプトボックスは、単なるホームページ制作会社か?答えはNOだ。少なくともスタッフはそう考えていない。では果たして何をしている会社なのか?

「クライアント企業が持っている問題を、微力ながら一緒に解決していきたい。その方法が今はインターネットだということです」と代表の山岡は語る。いざホームページを作ろうとすると様々な問題があらわになるらしい。「集客方法のマンネリ化」などはいい方で、「部署間の意思疎通がとれていない」「めんどくさいことは秘密にする」などなど。

 

 

「だからホームページを作るだけでも、クライアント様の事業全体を把握しないことには全く前に進めません」。クライアントとコミュニケーションを取り、ああだこうだと議論を重ねることが、最初の仕事になるのだ。「これらの問題を解決しながら作ったホームページは、自然と売れるページになっていきます」。

ただ見た目のきれいなホームページを作るだけでなく、コンサルティングを元にした「売れるウェブサイトを提案する会社」というのが先の問いへの答えになりそうだ。

 

オフィス

 

企業とお客様の「あいだ」が硬直化している

「売れない時代」とまた言われ始めた。「最近に始まったことではないけれど、特に顕著になってきたのが、プロフェッショナルのお店(会社)から買わなくなったこと。なんでプロのスキルをもっと利用しないんでしょう」。高知の地場にも利用すべき知識やスキルを持った企業はたくさんある。けれど、売れずに疲弊している。

山岡は言う。「プロフェッショナルの会社と、今は遠のいてしまったお客様を引き合わせること、「あいだ」を取り持つことが僕の仕事。それは世界中のお客様かもしれないし、高知のお客様かもしれない。今は、そのツールがインターネットやITだということです」。

「クライアント企業とその顧客のコミュニケーションの新しい形を作ること」が、彼が日々取り組んでいることだ。

 

ホームページでモノが売れることで、会社が変わってきます

コミュニケーションがうまく動き出すとページでものが売れるようになる。商品が売れるといううれしいもので、その経験は人を活発にする。「ホームページに注文が入るようになって、社員さんに活気が出てきたということをよく聞きます。自分のことのようにうれしいです」。会社の活性化に一役買うこともあるようだ。

「クライアントのIT担当の多くは跡取りさんがやるんですね。僕と一緒か、少し上の世代。いろんな気持ちがある中で、ホームページが成功することによって、息子のやってることを親が認め、息子は自信をつけつつ親の苦労を知る、そんな場面に立ち会うのも、僕の喜びの一つです。同じ息子としてね」。

 

「コミュニケーションは「わかりやすく」なければならないんです」

何も知らずに飛び込んだパソコン業界

大学の卒論のテーマは「アメリカ現代哲学」。数学は苦手、文系一筋。しかしなぜだか就職は地元のパソコン屋(エレクトリックパーツ高知)に。大学卒業して就職したのがWindows95が発売された年だった。「パソコンの大波が押し寄せて来ていたので、素人でもなんとか営業できました」。物売りの基礎は、当時の二人の部長からみっちり仕込まれた。

 

「知識がクリックで次々と関連づけられる」という衝撃

「96年頃、高知にもインターネットが敷かれました。「知識がクリックで関連づけられる」という単純だけど、今までにないインターフェイスに感動しました」。また、誰でもがホームページというものを作り公開できることに創作意欲をかき立てられたと言う。

インターネットの世界に魅了されながらも、山岡は、退職し大学院に進む。「知識のインフラが整いつつありました。でも自分にはその容れ物に入れる物がない。もっとかしこくなりたかったんです」。

 

コミュニケーションは「わかりやすく」なければならない。

生活のために始めた学校の講師や家庭教師で、彼はコミュニケーションの難しさに改めて気づかされる。「独りよがりでは何も伝えることができないんです。伝わらなければ何も起こらない。授業もインターネットも同じです」。山岡のウェブ制作には、その頃から培っている「コミュニケーションはわかりやすくなければならない」というBGMが流れている。

ウェブ制作がメインになった今でも、講師の仕事は続けている。担当科目は情報処理をはじめ、哲学、倫理学、論理学、論文の書き方・・・。「今でも毎時間緊張します。枕でスベらないかどうかって・・・。わかりやすく伝えるコツは、しゃべる順番を間違えないことです!」

 

企業のページは顧客との自由なコミュニケーションの場

企業のホームページはその企業の顧客との自由なコミュニケーションの場。経営学的には重要な「ブランド接点」である。

コミュニケーションであるからには一方通行ではあり得ない。「会社側が知らせたいことと、訪問者の知りたいことは、得てして異なることが多いです。その溝を埋めるのも僕の仕事です」。

企業と訪問者のニーズの違いは、ホームページの場合、数字でわかる。たとえば、がんばって作ったおすすめページは誰も読まない、意外なページがよく読まれているということが「ページ滞在時間」を測ることによってわかるのだ。そこで「なぜ」「どうすれば」と考え始める。

 

ホームページの運営は「科学的な努力」の積み重ね

「ホームページは公開して終わりでありません。そこからがスタート。見てくれている人がどう感じているか、それをくみ取ってページを改善していかなければなりません」。「アクセス解析を読むことで訪問者の動きがつかめます。それに応じて思いを巡らせ、ページを改善していくことは「科学的な努力」であり、その積み重ねです」

 

 

「科学」と「努力」。インターネットは、機械的なものと人間的なものが入り乱れている世界のようだ。山岡はその水先案内人の一人である。

(了)

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